ADV150 マフラー開発 (完結編)実走テストを経て

皆様こんにちは。
ADV150用フルエキゾーストですが8/5のリリースが決まり、現時点では動画撮影のみを残しています。
出来得る限り早いタイミングで動画を撮りたいと思っているのですが、来週のJMCA認証試験に向けてジクサーSF250の仕上げ段階に入っていますので動画はそのあとのタイミングとなりそうです。
と、その前に実走テスト(完結編)も更新出来ていませんでしたので、アメブロと内容は被りますが完結編ブログとして書きたいと思います。
様々な種類の管長やパイプレイアウトを変更しながらベンチテストを経て最終的にエキパイ1種類と静寂性を求めたSS-OVALタイプ、そしてスポーツ性を重視したST-OVALタイプの2種類を実走テストで検証する事にしました。
グラフ自体はかなり元気な。。。いや正直、元気過ぎる程のグラフとなりましたが、ミッション車と違い、スクーターでのベンチテストは必ずしもグラフと実走のフィーリングが一致しない事は先のブログでも書きましたが、実走テストの時もグラフのイメージはイメージとして、実際に体感するフィーリングを重視する事にしました。
実際やりたかったのは、「ベンチテストで良かったデータのマフラーで、そのまま実走テストを行い駄目なところは調整、マフラーの管長や口径を変更→再度ベンチテスト」という繰り返しで造っていきたかったのですが、コロナ禍において弊社も自粛で実走テストが後回しになってしまったので、万が一、ベンチテストデータが役に立たないとなると今までの努力が水の泡です。
まぁそんな事は恐らくない筈ので、まずは高速道路も含めての実走行テストに行く事にしました。
アメブロの方にも書きましたが、ところがですね。。。(笑)
ベンチテストで描いた様なパワー感が感じず、低速域においてはノーマル時の加速性能に負けているのでは?と思う位、トルクの立ち上がりが遅く。。。いきなり、「やってしまった感」が。。。(笑)
高速道路での高速域のフィーリングは良く、全開走行におけるイメージはほぼグラフ通りですが、一般道における再加速した時のフィーリングではやはり鈍く感じます。
また最初はST-OVAL(スポーツタイプ)からのフィーリングテストだったのですが、アイドリング時やアクセルを一定にしての音量・音質は問題ないのですが、アクセルを全開に開けて加速したり、再加速する時の音量が思った以上に大きく、また音質も決して綺麗な音質とは言えず、元気な音質ではありますが個人的には耳に不快な音が残る感じです。
会社に戻り、一旦エンジンを冷やしてから念の為ベンチテストをしてみる事に。

すると当然というか、やはりベンチテストではなかなかのパワーが出てるんですよね。。。
「0km/h→アクセル全開」という計測方法、そして弊社のシャーシダイナモの特性もあるのでしょう、乗ってみるのとはイメージが違います。
シャーシダイナモのメーカーによって簡単に説明すると、タイヤ下のローラー自体が重く(500kg)、これを回す力からパワーを計算するタイプと、タイヤ下のローラーは基本無負荷で1次減速比や二次減速、ミッションのギヤ比を入力し、ピークパワーを発揮する加速度を基にパワーを計算するタイプがあり、弊社の機械は後者の方で、その測定方法の差が今回の開発では影響してるのかな?と思いつつ、実際に必要なのは実走フィーリングなので当然ながらそこを重視する事に集中しました。
サイレンサーの仕様もこのタイミングで変更を加え実走テストを続けます。
スポーツタイプのST-OVAL、静穏タイプのSS-OVALとテスト&少変更を加えながらエキパイの方でも変更を加え、ようやく答えが見えて来ました。
弊社のスクーター乗りの社員にも乗って貰ってOKが出れば、シャーシダイナモでデータを再確認して仕様を決めるつもりです。
ところがです。。。社員曰く「ノーマルに比べてもパワーは感じませんけど」という手厳しいコメント。
社員と話をしていて私自身も少し実走テストにおいて考えさせられる事がありました。
私は高速テストも含めて市街地でのテストでも比較的広い道での実走テストを行なっていましたが、社員はストップ&ゴーの多い、むしろ道幅の狭い道を中心に実走テストを行なってくれていたみたいです。
道幅の広い市街地では信号からアクセルを大きく開けて加速、再加速といったテストをしていましたが、極低速域や低速時からアクセルを開けていくシチュエーションでは、アクセルをワイドオープンする時と違い、結果として反応スピードに改善の余地がありそうです。
この時点で、これまで最終仕様にしようと考えていたエキパイを根本から造り直す事にしました。
今までのベンチテストの時間がほぼ無駄になった瞬間です(笑)
その答えはエキパイヘッダー部分にあると推測されるのでその部分を改良し試してみる事にしました。
(※具体的な管長や口径変更の数値的な事は申し訳ないのですが内部データとなりますのですみません。)

ついでにマフラーレイアウトも少し変更し、サイレンサーの角度を更に元気良くする事に。
実走テストのフィーリングは良好で低速時から再加速やパーシャル時からジワジワ開けていくフィーリングも良く、高速走行でのフィーリング、ここも良い感じです。
社員の実走テストでも無事合格が出ましたのでJMCA認証試験にはこの仕様で持ち込む事に。
その結果、静寂性を求めたSS-OVAL、スポーツ性を求めたST-OVAL共にJMCA認証試験を合格となりました。
音量・詳細はコチラのページ。
そして最終のパワーグラフがこちらとなります。

コチラがSS-OVALフルエキゾースト。

そしてコチラがST-OVALフルエキゾースト。
実走テストを経てベンチテスト終了時よりパワーカーブ自体は地味になりましたが(笑)、早朝深夜での通勤通学も可能なSS-OVALは低音を効かせつつ心地の良いマイルドなサウンドで乗り味も良く、またスポーツタイプのST-OVALは音量も一回りSS-OVALより大きく設定していますが、更に低音を効かせたスポーティーなサウンドで、アクセルの反応スピードや加速時のフィーリングを楽しんで頂ける仕様になりました。
エキパイは他社さんが一体構造としていますが、弊社は2ピース構造を採用、スプリングジョイントとする事でスポーティーな雰囲気に仕立てています。

またサイレンサーを装着する際に必要なマフラーステーはジュラルミン材から削り出しており、ワンポイントアイテムとしてスポーティーな雰囲気を演出しています。

また今回からステンレスシェル仕様もラインナップしました。
光沢のある奥深い輝きであり、高い質感でありながらもコストパフォーマンスに優れたサイレンサーでもあり、幅広いバリエーションからお客様のニーズに合った商品を選んで頂けたらと思っています。
こんな感じで開発は無事終了。
開発して思った事、やはりスクーターの場合はベンチテストありきでなく、実走テストが最重要だという事ですかね(笑)
以上、ADV150マフラー開発日記(完結編)でした。
それでは失礼致します。
スポンサーサイト