ADV150 マフラー開発 ベンチテスト編

ADV150ですが、いよいよフルエキのベンチテストに入っていく事になります。
ベンチテストは非常に大事な作業ですが、今回はスクーターという事でグラフに出たデータのみではなく実走フィーリングが重要になって来ます。(その理由は序章に書きました。)
ノーマルマフラーでかなり乗り込んだので、今回のマフラー開発も実走フィーリングを中心にと考えていましたが、丁度このタイミングでコロナウイルスによる緊急事態宣言が発出され、不要不急の観点から実走テストを自粛し、先にベンチテストを優先しての作業となりました。
という事で最終的には実走テストで決定するとして、先にベンチテストの方で煮詰める事となりました。

で、ファーストインプレッションがコチラのデータです。
使用したサイレンサーは去年、OEMで開発したXMAX用サイレンサーをベースにADV150に使うサイズに変更した物です。
XMAXではこの仕様で消音効率と特性を両立出来たのですが、排気量が違う事もあり、そんな都合よく上手くはいきませんね(笑)
ただし、エキパイのベース寸法はそこそこいけそうな感じです。
サイレンサーは予め数種類製作しているので、サイレンサーとエキパイとの相性を見ながらデータ取り開始です。



各サイレンサーでの特性をベンチテストで見極めていきます。
その結果、思った通りにいった事、思った通りに全くならなかった事を繰り返し、一進一退を繰り返した結果、この時点でサイレンサーは2パターンに絞られ、エキパイは短い方が特性的に良さそうというのが分かってきました。

という事でエキパイの短いタイプに変更してベンチテストの続きです。
因みにここで書く「短い方のエキパイ」事のですが。。。

シャーシダイナモ上に載る「短い方のエキパイ」はこのマフラーですが。。。

見た目上の寸法では実はコチラが短い方になります。というのも写真で見えているパイプの内部にもパイプが通っていまして、その事を踏まえて「短い」だの「長い」だのと表現しております。。。(ブログを読まれている方にはどちらでも良い事ですね 笑)
さて続けます。
短いエキパイに変えてのベンチテストですが、タイミング的にG.W休暇に入ってしまった事もありベンチテストは一旦休止、その間にデータを検証し、G.W明けのベンチテストに備えてサイレンサー構造自体も調整を施しておきました。
前回のテストでは良くなかったサイレンサーですが、ピックアップや吹け上がりはシャープな感じで、こんな時の為に実走テストでフィーリングチェックをしながら開発したかったのですが、不急不要の。。。という事で実走テストは我慢。。。このサイレンサー自体にもリファインを行い、このサイレンサーの良い部分を上回る事が出来る様にと考え、比較しながらのテストとしました。



因みに赤線が今回のテストサイレンサーです。
ところがですね。。。なかなか思った様な改善が出来ず、リファインした比較用サイレンサーに対して明確に良くなる気配が無く苦戦する事に。。。

その結果も踏まえてエキパイの管長に思うところがあったので、簡易治具上で管長を変える事にしてサイレンサーにも変更を加える事にしました。その結果がコチラです。

かなり明確に改善が出来て、この時少しホッとしました(笑)
強がる訳ではございませんが(笑)、変更する事によってのパワーカーブの動きが凡そ見えてきた事もあってエキパイにも仕様変更を施したのですが、思った以上に良くなりました。
因みにノーマルとの比較データがコチラ。

この日、ノーマルマフラーも計測し直しており、同条件下ではありますがいささかパワーが出過ぎている様な気が。。。
というのもベンチテストをしていての経験ですが、ノーマルに対してここまで良いグラフになるイメージがこのバイクの場合、無いんですよね。。。(ノーマル自体の特性が良いからという意味です)
今回の変更点で、まだ少し改善の余地も感じましたし、と同時にノーマルを再計測して検証する必要もあると感じたのが先週までの出来事です。。。先週末から今週に入り、今日明日と天候が悪くベンチテストは5/20水曜日の予定です。
車両が弊社に納入したのが3/14で、ようやく「製品開発ブログ(FC2)」の方でもリアルタイムまでブログ更新が出来ました。
明後日からは最終ベンチテストの開始となり、またこの間にマフラーレイアウト&仕様変更(調整)も最終仕様に向けて煮詰めていっています。そして、いよいよ実走テストが再開となりますのでもう一息、頑張りたいと思います。
それでは。
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