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ADV150 マフラー開発 ベンチテスト編

ADV150マフラー開発 (16)

ADV150ですが、いよいよフルエキのベンチテストに入っていく事になります。

ベンチテストは非常に大事な作業ですが、今回はスクーターという事でグラフに出たデータのみではなく実走フィーリングが重要になって来ます。(その理由は序章に書きました。)

ノーマルマフラーでかなり乗り込んだので、今回のマフラー開発も実走フィーリングを中心にと考えていましたが、丁度このタイミングでコロナウイルスによる緊急事態宣言が発出され、不要不急の観点から実走テストを自粛し、先にベンチテストを優先しての作業となりました。

という事で最終的には実走テストで決定するとして、先にベンチテストの方で煮詰める事となりました。

ADV150マフラー開発 (13)
で、ファーストインプレッションがコチラのデータです。
使用したサイレンサーは去年、OEMで開発したXMAX用サイレンサーをベースにADV150に使うサイズに変更した物です。
XMAXではこの仕様で消音効率と特性を両立出来たのですが、排気量が違う事もあり、そんな都合よく上手くはいきませんね(笑)
ただし、エキパイのベース寸法はそこそこいけそうな感じです。

サイレンサーは予め数種類製作しているので、サイレンサーとエキパイとの相性を見ながらデータ取り開始です。

NvsS2.jpg
Nvss2n.jpg
NvsS3S.jpg
各サイレンサーでの特性をベンチテストで見極めていきます。
その結果、思った通りにいった事、思った通りに全くならなかった事を繰り返し、一進一退を繰り返した結果、この時点でサイレンサーは2パターンに絞られ、エキパイは短い方が特性的に良さそうというのが分かってきました。

ADV150マフラー開発 (19)
という事でエキパイの短いタイプに変更してベンチテストの続きです。

因みにここで書く「短い方のエキパイ」事のですが。。。

ADV150  フルエキ (6)
シャーシダイナモ上に載る「短い方のエキパイ」はこのマフラーですが。。。

ADV150  レイアウト② (9)
見た目上の寸法では実はコチラが短い方になります。というのも写真で見えているパイプの内部にもパイプが通っていまして、その事を踏まえて「短い」だの「長い」だのと表現しております。。。(ブログを読まれている方にはどちらでも良い事ですね 笑)

さて続けます。

短いエキパイに変えてのベンチテストですが、タイミング的にG.W休暇に入ってしまった事もありベンチテストは一旦休止、その間にデータを検証し、G.W明けのベンチテストに備えてサイレンサー構造自体も調整を施しておきました。

前回のテストでは良くなかったサイレンサーですが、ピックアップや吹け上がりはシャープな感じで、こんな時の為に実走テストでフィーリングチェックをしながら開発したかったのですが、不急不要の。。。という事で実走テストは我慢。。。このサイレンサー自体にもリファインを行い、このサイレンサーの良い部分を上回る事が出来る様にと考え、比較しながらのテストとしました。

1vs1a.jpg
1vs2.jpg
1vs3.jpg
因みに赤線が今回のテストサイレンサーです。 

ところがですね。。。なかなか思った様な改善が出来ず、リファインした比較用サイレンサーに対して明確に良くなる気配が無く苦戦する事に。。。

DSC_1228.jpg
その結果も踏まえてエキパイの管長に思うところがあったので、簡易治具上で管長を変える事にしてサイレンサーにも変更を加える事にしました。その結果がコチラです。

1vs3a.jpg
かなり明確に改善が出来て、この時少しホッとしました(笑)
強がる訳ではございませんが(笑)、変更する事によってのパワーカーブの動きが凡そ見えてきた事もあってエキパイにも仕様変更を施したのですが、思った以上に良くなりました。

因みにノーマルとの比較データがコチラ。

Norvs3a (1)
この日、ノーマルマフラーも計測し直しており、同条件下ではありますがいささかパワーが出過ぎている様な気が。。。

というのもベンチテストをしていての経験ですが、ノーマルに対してここまで良いグラフになるイメージがこのバイクの場合、無いんですよね。。。(ノーマル自体の特性が良いからという意味です)

今回の変更点で、まだ少し改善の余地も感じましたし、と同時にノーマルを再計測して検証する必要もあると感じたのが先週までの出来事です。。。先週末から今週に入り、今日明日と天候が悪くベンチテストは5/20水曜日の予定です。

車両が弊社に納入したのが3/14で、ようやく「製品開発ブログ(FC2)」の方でもリアルタイムまでブログ更新が出来ました。

明後日からは最終ベンチテストの開始となり、またこの間にマフラーレイアウト&仕様変更(調整)も最終仕様に向けて煮詰めていっています。そして、いよいよ実走テストが再開となりますのでもう一息、頑張りたいと思います。

それでは。
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ADV150 マフラー開発日記  ベンチテスト開始そしてレイアウト

ADV150  フルエキ (1)
皆様こんにちは。

マフラー開発の続きです。

ADV150の慣らしも終えて走行フィーリングもチェックした上でシャーシダイナモでノーマルのデータ収集をしました。

ADV150_n (28)
グラフを見て話すのは一般の方には分りにくく、説明も難しいのですが、乗ったフィーリングとグラフが案外イメージ通りというか、なかなか良いグラフが取れました。

ADV150は信号待ちのゼロ発進から50km/hまでの加速フィーリングが大変良くてタウンユースでは本当に扱い易いバイクだと思います。高速道路も乗りましたが、敢えて書くなら。。。という事で言うとですが、本線合流まで一気に加速した時、65~70km;h付近から加速が鈍るかな?といった点が唯一の点で、実際には軽自動車よりも速く、本線合流で問題があるレベルなんかでも無く、「敢えて」言えば。。。の話です。

走行中のアクセルを戻した時の再加速も非常にスムーズなのですが、これも敢えて言えば50km/h付近からの再加速の際、若干反応スピードが遅れるかな?という感じですが、苦し紛れにウィークポイントを探そうとしているだけで、ハッキリ言って優秀です。

ADV150_n (23)
実際のフィーリングに近いと書いたのは矢印の角度が示す様にスタートダッシュが良く、そしてタウンユースで使用する速度域は滑らかで、高速走行の際はグラフの通りもう一段力強く加速するといった具合にグラフと実走行フィーリングが似ているなと思ったからです。

さてノーマルのベンチテストが終わり、ノーマルマフラーを取り外して寸法データを測定、いよいよ試作マフラーの製作に取り掛かります。

ADV150_n (14)
今回は最初の段階で2種類のエキパイを製作する予定でスタートし、サイレンサーの仕様違いは4種類用意して、それらのデータの中から方向性を決めていく予定です。

本当に4種類のサイレンサーが必要なのか?という事になりますが、私の場合、毎回決まって「きっと駄目なやつ」というサイレンサーを用意し、そのデータも踏まえ進めて行く事にしてるので実際は3種類がテスト目的と言えます。

何故、わざわざ「きっと駄目なやつ」というサイレンサーを造るのかというと、パイプの管長を予め狙って寸法を決めて造っていくのですが、想定以上に順調に進まなかった場合の見極めとしてそのサイレンサーのデータを確認する事にしています。

まぁ、おそらくこんな事してるのわたしだけだと思いますけど。。。(笑)

エキパイに関してはノーマルを基準にしてパイプ径や管長の違う2タイプを製作し、ベンチテストをする中でサイレンサーの相性や、このあと進めて行く方向性を決めていく為に2種類用意するのですが、これは今回のスクーターマフラーの場合です。
通常のミッション車の場合、ノーマルのデータ取り、ノーマルの寸法確認とここまでは同じですが、ミッション車の場合は選定したパイプ径・管長で試作品を造り、ベンチテストから出たパワーグラフから、最終の管長を煮詰めていくという作業にしています。

スクーターの場合2種類の異なるパイプを用意するのは、やはり実走行フィーリングがより重要という事で出来るかどうかはともかく、そのデータの中からパイプ径や管長の「いいトコ取り」が出来ないかなと。。。(笑) いや、いいトコ取りというか、それぞれ良いところを実走行で確認したいというのが本音です。

まぁ、エラそうに書いててもただの「マフラー開発マニア」なだけなので適当に流して下さい(笑)

ADV150  フルエキ (2)
さて予め設定したパイプ径・寸法で車体に合わせてレイアウトしていくのですが。。。

ADV150  フルエキ (4)
この時点で自分にある違和感に気が付きました。

マフラーの通る場所がほぼノーマルのレイアウト位置にしか来ないので仕方の無い事ではあるのですが、ノーマルマフラーっぽいというか既にリリースされているアフターマフラーとも当然重なるわけで、元々天邪鬼と言うか人と同じ事を好まないタイプなので(笑)、少しアレンジしてバイクのイメージに合わせて取り回しを変更、アップスタイルな感じに仕上げてみました。

ADV150  フルエキ (6)
この時、試作1号なので煮詰めなければいけないところは多々あるのですが、ベンチテストには全く問題ないのでとりあえず。。。

そしてパイプ径の組み合わせや管長を変更した物を製作するにあたって、もう1本は全く違うレイアウトにしてみました。

ADV150  レイアウト② (9)
かなり違うイメージになりました。
ADV150  レイアウト② (5)
こちらはサイドスタンドでの装着写真です。

ADV150  レイアウト② (7)
こちらも試作1発目なので、まだまだ煮詰める余地はありますが、パイプのラインをより強調するタイプにしましたので、コチラの方が躍動感のあるレイアウトになりました。

この2種類はパイプ径の組み合わせ&管長が違うのですが、テストの中で良い方を煮詰めていく予定ですが、レイアウト的な事でいうとパイプのラインを強調したタイプを採用する事にしました。

いよいよ本格的なテストに入るのですが、それはまた次回という事で失礼致します。

ADV150マフラー開発 (3)

ADV150 マフラー開発日記 序章

ADV150_n (5)
皆様こんにちは。

アメブロの方でもADV150マフラー開発日記を展開していますが、こちらの方では時系列に沿って内容を少しまとめた物を書いていきたいと思っています。

ADV150が弊社に来たのが3月14日(土)、お世話になっているホンダドリーム京都東店さんに車両を引き取りに行かせて貰いました。

ADV150の乗った印象は、本当に優秀なスクーターで125ccとの差を感じさせるスタートからのトルク(加速)感、どこからでも加速してくれてスピード乗りも上々、サスペンションは硬めと言われていたりしますが、私にとってはこれぐらいの方が、コシがあって乗りやすく感じますし、高速道路を走れる車両ですからむしろこれ位の方がいいなかなという気がしています。

実際、他のスクーターと比べると確かに硬く感じたりもしますが、イメージ的にはタイヤのブロックパターンでそう感じている様な気もしますね。タイヤのブロックパターンで印象は全然変わりますからね。

弊社のスクーター系のマフラー開発でいうと、2010年にアドレスV125Gを開発して以来、久しぶりのスクーターマフラー開発となります。
NMAXやシグナスXの時はサクラさんやMAC-MRDさんとの三社協同という特殊な形態をとっていましたから、弊社としては10年ぶりとなります。

OEMとしては昨年にXMAXもやりましたが、スクーターとミッション車のマフラー開発の差は簡単に言うとマフラー開発の仕方が少し変わってきます。
ミッション車の場合も試乗してフィーリングを確認しますが、スクーターの場合は特に実走行のフィーリングを大事にしたいと考えています。因みに弊社が過去に造ってきたスクーターマフラーも全て同じ考えでやってきました。

ミッション車はベンチテストでのパワーカーブが試乗テストにおいてフィーリング的にかなり近く、基本的にはベンチテスト上のグラフと実走行のフィーリングが連動する事が確認出来ます。

一方スクーターの場合は、ベンチテストのグラフが必ずしも実走行とは連動しない事もしばしばです。
スクーターの場合、ベンチテストでは「0km/h→アクセル全開フル加速」という方法でデータを取ります。

弊社のミッション車の動画を見て貰えれば分かりますがミッション車の場合、計測するギヤまでシャーシダイナモ上で走らせて回転を合わせてベンチテストをするのですが、スクーターで同じ事を再現するのはなかなか困難で、ウェイトローラーを常に同じ位置での測定(合わせる事)は至難の業で、ほぼ再現性はゼロです。(実際、ウェイトローラー位置も目視出来ませんので)

ADV150_n (22)

結果、スクーターの場合は安定したデータを取る為には「0km/h→アクセル全開フル加速」が一番最適という事になります。

しかしながらベンチテストにおいて取れるデータはあくまでも発進時からのフル加速においてのパワーグラフで、、例えば40km/hからアクセルを戻して再加速した場合や、高速道路において高速走行から渋滞で減速し、再び加速といった状況がベンチテストでは再現し難い事から、スクーターマフラーの開発はそういった意味において実走行が重要となります。

さてADV150ですが先にも書いた通り、大変優秀でウィークポイントが見当たらず、なかなかマフラー屋さんにとっては難しい開発になりそうです。

「パワーが上がらない」イコール「パワーが下がらない」とはならず、適当にといっては何ですが、しっかり造り込まないと間違いなくパワーは下がる事になります。

パワーカーブを造りながら実走行でチェックし、当然パワーカーブが良ければ悪い気はしないのですが、それだけに頼らず乗ったフィーリングを大切にしようと考えて開発は開始しています。

ご存知の通り、昨今のコロナウィルスの影響で日本には非常事態宣言が発出されており、不要不急な外出は制限されている中で、実走行によるテストは弊社も控えている状況ですので、現時点ではベンチテストを優先して開発を続けている状況です。

またJMCA認証試験も4月、5月開催が中止となり、現在は6月の試験を目指している状況にあります。

良くも悪くも時間的な余裕はたくさんありますので、これまで以上に出来得る最大限のテストを行える事で、しっかりとADV150用フルエキゾーストを仕上げていけたらと考えています。

本日はこの辺りで、次回からベンチテスト作業に関してやマフラーレイアウトに関しての話を書いてみたいと思います。

それでは。

ADV150マフラー開発 (1)
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ダブルアールズ

Author:ダブルアールズ
WR'S(ダブルアールズ)マフラーの開発状況などを掲載。

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