FC2ブログ

BMW G310R レースマフラー開発日記

BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (5)
本日も素晴しい秋晴れで運動会にはもってこいの天候となりましたね~。
同業のSNSを見ていてもサーキットか運動会って感じです(笑)

さてさて前回からの続きになりますが、まずは前回のベンチテストデータから。
プロト1vs ノーマル
決して悪いデータではないんですけどね。
実は輪切りしたパイプを溶接して造ったマフラーからパイプベンダーで機械曲げして寸法を再現した時、少し径の違うパイプをエキパイヘッダー部分に採用したのですが、「思ったより上が伸びなかったのはそのせいかな?」と考えました。

実際には、グラフで見る限り低中速回転域で効果は見られ、高回転域の繋がりも悪くないのですが。。。
時間的に猶予が沢山ある場合、おそらくそうは考えなかったと思いますが、出荷納期の関係もあり、ピンポイントで良い結果を導き出そうと焦っていたんですよね、きっと。。。

基本的な考え方ですが、パワーグラフの面積ってそんなに大きく変わらないというか、変えれないんです。。。実際のところ。
BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (4) - コピー
パワーグラフの面積って、この赤線の部分の面積の事なんですけど。

かなりアバウトにですが簡単に説明すると。。。
BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (5) - コピー
このグラフでいうと、赤斜線の部分はパワーが上がっているんですけど黒斜線の部分はノーマルに負けていて、結局のところトータルのパワーが上がった部分を足した面積とパワーが下がった部分を差し引くと、トータルで総面積はそんなに変わっていないというか。。。言いたい事分りますかね?(笑)

ノーマルの持つパワーグラフの面積を削る事なく増やすのは本当に難しく、私の場合はグラフの曲線だけを見てるのではなく、相対的な部分として、結果的にこの面積が大きく増えている時の方が、ピークパワー付近だけ上がってるマフラーより扱い易く結果として速いマフラーと言われてる事が多い様な気がします。

話が見えにくくなりそうですが(笑)、平たく言うと低中速域傾向のマフラーになっちゃったのかな?と勘違いしてしまった訳です。
マフラー屋でパワーグラフを見れる人なら分ると思いますが、決してピーク付近にそんな影響は出ていないグラフなんですけどね。

結局のところ、急がば回れという諺を無視してエキパイヘッダー部のパイプ径を継ぎ接ぎマフラーの径に戻し、何故かパイプ長を稼ぐ方向に進みました。それで出た結果がこちら。
プロト1vsプロト1改
青線がプロト1号とするなら赤線は今回のプロト1号改です。
ピークパワーを含めた高回転域を伸ばす為の変更が、諺を無視した罰なのか、見事高回転域だけパワーが落ちました。。。

時間の無い中なので、ホントショックでした(笑)因みに何故にパイプ長を長くしたのかこの時の判断は未だに不明ですが(笑)、このタイミングでサイレンサーの仕様変更をテスト。。。
もし私の弟子がそんな事をしたら、マフラー造りの話しを根本からし直すと思うのですが、この時点では時間的な制約から、私自身我を見失っている感じでしたね(笑)

サイレンサー自体はもて耐で使用したサイレンサーの雰囲気と、今回の最初のベンチテストの結果から、ある程度仕様を見据えて製作した物が、かなり使えそうな事が確認出来たのみで、プロト1号改の寸法はダメと判断、冷静さを取り戻してパワーグラフの結果からエキパイヘッダー部のパイプ径を最初の寸法に戻し、パイプ長を変更して再びベンチテストを行いました。
「冷静さを取り戻し」と書きましたが、結構試行錯誤を繰返して冷静になれるまで時間はかかりましたが(笑)、その結果がコチラ。
プロト1vsプロト2
青線がプロト1号で赤線がプロト2号です。
まぁ、元に戻っただけのグラフに見えますが、ひとまず心からホッとしましたね。
この仕事って、一度自分の理解出来ない事が起こって頭脳がフリーズすると、二度と元に戻らないのでは?みたいな衝動に駆られるんですよ、実際はパイプ径と長さに対してグラフは忠実に反映されるんですけどね。

でもホッとした理由は同じ感じになったのからではなく、プロト1号と明確に違う仕様で、5,000~5,500rpm近辺が悪くなった事です。
まぁ、やった事に対してパワーが上がるに超した事はないのですが、下がった事により次のステップが見えて来ました。
因みに3度ベンチを回しましたが、やはりこのグラフ同様のパワーカーブとなったので偶然パワーが下がった訳ではないと判断出来ました。

テストをしていく中で。。。
BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (1)
こんな感じから。。。
BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (3)
こんな感じへとパイプ長やレイアウトが変わっていきましたが。。。

この時点では既に冷静で、「最初の仕様で量産しても。。。」とも考えましたが(笑)、コラボマフラーとして共同開発してるジップモータープロ喜田さんへ連絡し、状況を報告して仕様を変更する内容を伝えるとともにアドバイスも頂き、開発を続行する事に。

パワーグラフと格闘するお仕事である私の立場とは違う、レースメカニックとしてのサーキットを走るレース車両としての観点からの意見を聞けた事でかなり明確にやる事が見えて来ました。

次回はその続きを書きたいと思います。

それでは今日はこの辺りで。
スポンサーサイト

BMW G310R レースマフラー開発日記 - 序章 -

BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (2)
WR'Sマフラー開発担当です。
FC2ブログの更新は1ヶ月ぶりとなり、何か新鮮な気持ちですがまずは早速、リクエストの多かったG310Rのパワーグラフから見ていきましょう。

BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (4)
カタログデータでは「25kW(34PS)/9,500rpm」となっていますが、計測して出たパワーも34psを9,500rpm近辺で見事叩き出していますね。因みにこれ、後輪出力ですからかなりしっかりパワーが出てるバイクといっていいと思います。いやぁ、流石です。

このグラフは4速で計測しており、6速で計測したグラフではもう少し山の尖ったグラフとなっていましたね。
実際といっては少しアレですが、シャーシダイナモを回して続けていると、エンジンがどんどん調子良くなって、パワーグラフ全体に数値が良くなる事があるんですが、このグラフ自体も若干ですが、そんな時に出た結果ではあります。
ノーマルデータはマフラーを造る際の大切なベースデータとなりますので、私のセオリーとしては当然ながら一番パワーが出たノーマルデータに対して対比グラフを作って行く事になるのですが、実際計測し平均したパワーでは33ps強位になっています。
それでも後輪で33psはカタログデータで考えても大いに立派な結果と言えるでしょう。

このバイクの素晴しいところは、先日のもて耐出場時の決勝11時間をほぼギヤ抜けが無かったという、俄かには信じられない様な強靭なエンジンを持っているという事です。
今年のもて耐は、それまでの8月第一週開催から8月の最終週開催へと替わり、暑さ的にはピークを過ぎた季節で、実際に風が心地良くといったレース日和ではありましたが、それでもこの時期はどのバイクでも水温が上がると油温も上昇、オイルがシャブシャブになってギヤ抜けが。。。といった宿命を持っているにも関わらず、このG310Rはギヤ抜けに悩まされる事もなく、見事完走しました。

G310R 2017もて耐 (3)
G310R 2017もて耐 (4)
ペースもそこそこで良く、ラジエターは純正のまま見事走りきったG310R。エンジンの耐久性や諸々を考えると、レースベース車として維持費も安くつきそうですし、コスト面でももて耐向きな車両といっていいのではないでしょうか。
因みにオイルは純正指定を使用しての出場でしたが、BMWモトラッドのディーラーメカニックのレベルの高さも示すレースでした。

話が少しそれましたが、このもて耐に使用したマフラーをベースにレース用マフラーを製作していくのが今回の任務です。

G310R 用   オーバーホール (1)
まずはレース使用後の点検&サイレンサーのオーバーホールから。
継ぎ接ぎだらけのプロトタイプから量産用にパイプベンダーでパイプを曲げ直し、最終仕様に仕上げていく事になります。

G310R レース用最終プロト (7)
仕様が決定した訳ではないのでこの時点では仮治具ですが、プロトタイプではタイトだったクリアランスをしっかり確保する等、仮治具上で作業を行います。

G310R レース用最終プロト (4)
で、クリアランスもこの通り確保し、まずはこの仕様でパワーチェックを行います。

BMW G310R レースマフラー開発 最終仕様    (5)
プロト1vs ノーマル
黒線がノーマルで、赤線がレース用マフラーです。
まずまずなデータですが、私自身は気に入らないというか、レース前にベンチテストした対比グラフと少々違うところがあって、ちょっと不満です。。。
というのも、先に少し触れましたが、ベンチテストをしてるうちにエンジンにアタリが付いてきたというか、ノーマルのグラフ自体が良くなっているんです。。。
最初に対比する為に取ったノーマルデータのパワーは32ps強でパワーカーブ自体も全体的に低く、その時点でのパワーの対比差は3ps近くあったんですよね。。。(苦笑)もちろん、レース用を計測した後にもノーマルで計測し直した結果がです。

この辺は外車特有というか、アタリが付き出したら一皮向けた様な性格に変貌するというか、BMW本来の力強さなんでしょう。
BMW、流石です!と、ノーマルデータを褒めていても始まらないのですが(笑)、冷静な目で見てこのレース用マフラーもノーマルを下回る部分は無く、またレスポンスも驚くほど向上しており、及第点は十分与えられるマフラーではあります。

普通はですね。。。何処のマフラー屋さんもこれで量産に「GO!!」するのですが、私の場合は何か悔しさというか、物足りないと感じてしまった事もあり、ここから開発し直すんですよ、それが。。、(笑)

という事で納期が迫る中、このままで製品化するのを嫌ってこのマフラーの改良に着手する事にしましたが、それは次回のブログで書きたいと思います。

それでは今日はこの辺りで。




プロフィール

ダブルアールズ

Author:ダブルアールズ
WR'S(ダブルアールズ)マフラーの開発状況などを掲載。

リンク
訪問者
現在の閲覧者数:
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
QRコード
QR