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新型YZF-R25/R3用 SS-OVALスリップオン 開発日記 - 完結編 -

新型yzf-r25 (14)
皆様こんにちは。

昨日の続きから書いてみたいと思います。

まずは、旧型式YZF-R25用に開発したスリップオンを新型YZF-R25に装着してベンチテストをした結果がコチラ。

ノーマルvsスリップオン
旧型式YZF-R25の時よりもパワーカーブの差は出ませんでしたが、それでも上出来なグラフだと思います。
低速域ではノーマルを下回る事無く、高速域にかけてはしっかりパワーアップし、ピークでは約1馬力程、パワーアップしました。

何より乗っていてレスポンス感が良く、ノーマル時の「必要の無いエンジンブレーキ」の効きもマイルドで乗り易くなっているのが分かります。

最近、初心者の方がよく勘違いされている事があるのですが、低速域でアクセルを戻すとエンジンブレーキが効き、またアクセルを開けるとギクシャク感の中で加速していくのですが、この変なギクシャク感の中で起こる加速が「トルクが有る」、そしてマフラーを換えて低速域の変なエンジンブレーキがスムーズになり、ス~っと加速していく事を、「トルクが薄くなっている」みたいな感覚で話す方が結構いらっしゃいます。

最近のバイクは排ガス規制が厳しく、排ガス検査の際に測定使用する低回転域の燃調(ガソリンの噴射量)が薄くなっている事もあって、低速域でアクセルを戻すと必要以上のエンジンブレーキが効く傾向にあり、長年バイクに乗っている人達からすると「違和感」でしか無いのですが、バイクの経験が浅いと、今のバイクしか乗っていない事もあってこれが「普通」な為、こんな勘違いをされているのだろうと、お話を聞いているとそんな風に思います。

話を戻しますが、低速域からかなりスムーズに加速してくれるのですが、更なるメリハリ感というか、スパイス的な物が欲しくSS-OVALスリップオンではそこを目指すべく、内部構造を少しだけ変更する事にしました。

具体的には。。。

YZF-R25 WRSスリップオン (11)
YZF-R25 WRSスリップオン (4)
上がS.O.Vショートオーバルで下がラウンドタイプの出口ですが、YZF-R25/R3の場合、エンジン下のタイコ部分まででほぼ消音が終わっている為、こんな大口径な出口で近接・加速の規制値にしっかり収まってくれます。
スリップオンのピークパワー付近の特性も、大口径の出口から恩恵を受けていると言えるでしょう。

SS-OVALではこの部分を少し変更しました。

新型yzf-r25 (19)
新型yzf-r25 (24)
パンチング径の見直しと共に出口のインナー径を数タイプ造り、ベンチテストと実走でバランスを見ていく事にしました。

最初のベンチテストの結果がコチラ。

plot1.jpg
悪くないグラフが出ましたが、フィーリング的には何も変わりません(笑)

こうした作業を繰り返します。。。

新型yzf-r25 (23)
新型yzf-r25 (20)

最終仕様ではこうなりました。

最終plot yzf-r25
試乗でもレスポンス、そしてメリハリ感もしっかり出て、この仕様でJMCA認証試験を受ける事に。

JMCA認証試験では 「近接・90dB  加速・74dB」という結果で合格となりました。

そして今月はYZF-R3を受験です。

YZF-R3 スリップオン (5)
YZF-R3 スリップオン (4)
R25で試験に合格したマフラーに加え、念の為に別の仕様でもベンチテストしましたが、結果はR25で試験合格した仕様がベストだと確認出来ました。

その結果がコチラ。

R3 SS-OVAL
ピークでは2馬力近く上がり、レスポンスやフィーリングも良く、これで試験に臨みました。

結果は 「近接・90dB 加速・79dB」で合格して来ました。

因みに既存のスリップオンでのデータがコチラ。

R3 各種サイレンサー
3タイプとも線が重なる位に同じ結果に(笑)まぁ、この3タイプは長さの違いはあれど構造的には同じなので結果としてこうなりましたが、ノーマルをしっかり上回っており、もちろん新型YZF-R3にもラインナップです。

既存のラインナップに頼らす、新型YZF-R25/R3用としてイチから開発したSS-OVALスリップオン、満足のいく結果となりました。

リリースに関しては近くアメブロ「ダブルアールズマフラー開発 日々の出来事」の方でお知らせしたいと思いますので宜しくお願い致します。

次回は新型YZF-R25用フルエキゾーストの開発日記です。

それでは。

SB2255JM R3 (3)
SK2250JM (3)
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新型YZF-R25/R3用 SS-OVALスリップオン 開発日記 - 序章 -

SB2250JM (3)
皆様こんにちは。

さて新型YZF-R25/R3用SS-OVALスリップオンの開発日記の更新となりますが、ここのところアメブロの「マフラー開発 日々の出来事。」の方で開発過程を更新している事もあり、コチラの方は「備忘録」的なブログになろうとしていますが、それもアリかな?とも思いますので、しっかり『備忘録』として残していきたいと思います。

新型vs旧型
まずは新・旧のYZF-R25の対比グラフです。
赤線が新型YZF-R25で青線が旧型YZF-R25となります。

新型はカタログスペックで1ps低くなっていますが、グラフでもその辺りが顕著に現れ、また同時に低回転域の特性では新型に分があるグラフとなりました。

実際に乗ってみると旧型の記憶が定かに無いのすが、「YZF-R25って、こんなに加速が良かったかな?」と思う位にスピード乗りが良く、またポジショニングや倒立になったフロントフォークが絶妙な剛性感で、かなり心地良く走れるのが印象的でした。

馬力こそ劣りますが、タウンユースにおいては間違いなく進化しており、雑誌の記事を見る限りサーキットユースでも「新型」にふさわしい進化が確認出来ますね。

ただ、ベンチを回していると上が重いんですよね。。。10,000rpm付近から加速感がはっきりと鈍る感じで、「タウンユースで、そんな回転は使わない」という声が聞こえて来そうですが、私達の仕事は普段使わない回転域も確認した上でマフラー開発を行っていますので、私的には非常に重要な部分であります。

仮に弊社製品を検討頂いているとして、「普段使わない回転域ならパワーダウンさせてもいい」という事にはならない筈なので、そこも含めて毎回造っています。

ただ今回の開発はスリップオンで、YZF-R25の場合、エンジン下にあるタイコの部分迄で消音やパワーフィールが決まっている事も事実としてあります。

「消音やパワーフィールが決まっている」とはいえ、見様見真似で造ったら確実にパワーはダウンします。

YZF-R25に関しては、ノーマルの特性を把握しながらどういう方向に乗り味を持っていのくか?という事も重要な部分で、音質も含めて結構やれる事が多いので、簡単に見えるかも知れませんが(笑)、外してはいけない重要ポイントを見極める事も必要です。


開発の前に、旧型用に開発したスリップオンの検証作業から入りました。

新型yzf-r25 (21)
写真はラウンドタイプですが、S.O.Vやチタンオーバルも計測していきます。

実はこの作業は去年の2018年型YZF-R25で作業を終了しています。
2018年型YZF-R25はスタイルこそ新型YZF-R25とは違いますが、エンジン型式及び車両型式は新型YZF-R25と同じで、昨年にJMCA認証試験に行く際にベンチテストで各種計測し、問題もなかった事からJMCA認証試験を受験・合格して来ており、今回も万全を期してチェックを行いました。

ダイナモテストは当然問題なく、この時点でSS-OVALスリップオンより一足早く追加適合申請を終えてラインナップとなりました。

弊社はミドルクラスを中心にラインナップを揃えていますが、だから尚の事ミドルクラスのバイクは自信を持ってオススメ出来る様に万全を尽くす、それがミドルクラスの中でライバルと向き合う事が出来る唯一の方法と思っています。

あまり書いても自画自賛になってしまいますので(笑)、話を戻します。

2015年にYZF-R25が登場した時、そのパワーやスタイルに衝撃を受けました。
その時も当然ベストを尽くして開発したつもりではありましたが、日々勉強というか、その後色んな車種を開発していく過程で新たな発見が生まれたりします。

今回の新型は厳しい環境基準の中、単純にパワーが下がっただけでなく、エンジンにおいてもしっかり進化を遂げています。
例えば、ピストンも形状が変わっていますし、燃焼室の形状も変わっています。
タウンユースにおいては特に問題は無いですが、高回転域を回し続けるレースシーンにおいてネックになっていたカムシャフトも更に信頼性が高くなったりと、エンジン内部においても進化しています。

上記の通り、旧型YZF-R25用に開発した既存のスリップオンもベンチテストでは力強いパワーカーブを描いてくれましたが、今回SS-OVALスリップオンを開発するに当たって、ただラインナップを増やすのではなく、「スパイス」の効いたスリップオンに仕上げたいとの思いで開発に入りました。

ノーマルマフラーで街中を走らせていても思ったのですが、R3とは違いR25はレスポンス感が弱い傾向にあるので、フルエキの様に劇的に変える事は出来ませんが、スリップオンでも出来得る事はある筈なのでそこに取り組んでみる事にしました。

こうやって文字にしてみると、かなり何かが出来そうに見えてきますが(笑)、あくまでもスリップオンという中で出来得る事であり、劇的な事は難しいのもホンネです。
頑張って出来たと思っても、ユーザーには伝わり難い部分でもあったりしますが、そんな目標を持ってスタートしました。

本日はこの辺りで続きはまた明日です。

それでは。

新型yzf-r25 (15)


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ダブルアールズ

Author:ダブルアールズ
WR'S(ダブルアールズ)マフラーの開発状況などを掲載。

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