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2019CBR400R(2BL-NC56)マフラー開発日記

2BL-NC56 (1)

皆様こんにちは。
弊社としては今年最後となった新型CBR400R用スリップオンマフラーの開発日記を書きたいと思います。

まず初めに新型CBR400R(2BL-NC56)ですが、前モデル(2BL-NC47)を踏襲しつつも細部のディティールはもちろん、性能面でも進化しました。

スペックでは。。。

・ 前モデル(2BL-NC47) 34kw/9,500rpm 37N・m/7,500rpm
・ 新モデル(2BL-NC56) 34kw/9,000rpm 38N・m/7,500rpm

という事で新モデルは、同じ馬力ながら500rpm早く最高馬力に達し、トルクは同じ発生回転数で1N・m増えました。
エンジンベースは大きく変わりないところでのアップデートで、燃調マッピングの適正化や新しいデザインのマフラーも貢献していると思われます。

騒音値において(平成)29年度新規制が適用された車両となりますが、この新規制以降、どの車両に関してもノーマルマフラーに大きな変化が見受けられます。

その変化に関してですが、どの車両も近接騒音値が相対的に大きくなっているんですよね。
これは新規制が加速走行騒音に重点を置かれている事が要因ですが、結果として「近接騒音が大きい=抜けが良い」という、大雑把に括るとノーマルマフラー自体の性能も良くなっていると言え、また音質面でも一昔前のノーマルマフラーに比べてアフターマフラーに近い音質を思わす音質に変わりつつあります。

そんな事を頭の片隅に置きながら、まずは前モデル用スリップオンを装着し、ビジュアルも含めて最終仕様に向けて進めて行く事にしました。

ノーマル
まずはノーマルグラフから。
淀みなく低速域から高回転域まで非常にスムーズに伸びていく印象で音質自体もノーマルマフラーにありがちな金属音ではなく、なかなか耳障りの良い低音の効いた音質でバイク自体の気品みたいな物を感じさせてくれます。

2BL-NC56 (7)
そして前モデル用のスリップオンを装着。車体への干渉等は無いのですが。。。

2BL-NC56 (11)
とって付けた様な「カチ上げ感」が否めないところです。。。 肝心のデータはというと。。。

ノーマルvsSO
黒線がノーマルで赤線がスリップオンです。全く悪くは無いのですが、何故かピンと来ず、もしや?と思いノーマルに戻して再チェックする事にしました。その結果がコチラ。

ノーマルベスト
予想通り、ノーマルもあっさりパワーアップしました(笑)
数値的に弊社計測値になりますが、44.7psを9,000rpm付近で派生しており、カタログスペックが34kw=46psですから、かなり優秀なデータが取れました。
ノーマルvsSO2
で、再度比較してみると。。。やっぱ、こうなりますね。。。(笑)
低速~中速域にかけてはいいのですが、高速域ではノーマルと変わらないデータとなりました。

ここまでは想定範囲というか、良くある事ですのでマフラーレイアウトの変更と合わせて寸法的な部分を変えていく事にします。

2BL-NC56 (20)
最初に変更した事としてまずは寸法です。
見た目の変化が少ないかも知れませんが、まずは管長を短くしてみました。

ここが説明の難しいところですがノーマルより良いものの、高回転域での伸びが少し鈍ったと感じた事で管長を短くしてみましたが、これは毎回そうなるという事でなく(むしろ逆に伸ばす事も)、このバイクでアクセルを開けている時の感覚というか、長年ベンチテストしている勘というか、管長を短くする事で改善出来るのでは?と考えたからです。

447.jpg
その結果、前回よりもグラフ的には悪くなった様に感じますが、レスポンス感は良くて方向性として悪く無さそうだと感じました。
因みに同じタイミングでまたノーマルを計測しましたが、ピークパワーこそ同じだったものの、低速~中速域は線一本分良くなりました。比較グラフはそのグラフとの比較になります。

やはりというか、さすがノーマルマフラーも当然ながら思った以上に良い仕事をしている事が分かります。
ただ、褒めてばかりでは私の立場も無い事から(笑)、もう一工夫。。。今度はサイレンサー内部構造を変更です。

実はベンチテスト前にテストピースを数種類用意していましたが、やみくもに全て試すという事ではなく、ここはパワーグラフを見た上での作業となり、テストの結果、更に改良した内部構造を試す事にしました。

CBR400Rレイアウト (2)
CBR400Rレイアウト (8)

その間にもセンターパイプの管長変更と合わせてマフラーレイアウトを探っていきます。
この時点で最終レイアウトに関しては、車両をご提供頂いたオーナー様に決めてもらおうと、敢えて違うタイプのレイアウトを2種類製作しながらベンチテストを平行に作業を進めていきました。

ラウンドvsSS-OVAL
因みにサイレンサーの形状は違えど内部構造は一緒である事もあり、ラウンドタイプ、SS-OVALタイプ共にほぼ同じパワーカーブとなっています。
実は最初、ラウンドタイプには音質的にワイルドな音質を求めて内部構造をそれぞれ分けて進めましたが、音質的にあまりにもワイルド過ぎて濁りのある荒々しい音質に偏った為、CBR400Rのイメージ的に乖離がある事から、最終的にはSS-OVALと同じ構造の物でJMCA認証試験を受験しております。

で、肝心な仕様変更をした結果がコチラ。
450.jpg
高回転域でもパンチが効いてきましたが、何か思った様にいかず、当初は無いと思っていた長い管長のセンターパイプを試す事にしてみました。しかしながらやはりというか、管長の長い方も長所はあるものの、答えはここに無さそうです。。。

ここで、管長の変化でなくもしや?と思ったパイプワークの形状に少し変更を加える事にしました。
その結果がコチラです。

最終プロトタイプ  (1)
もう、一般の方からすれば「どんだけ変わってるの??」的なグラフに見えますが、トルク曲線(点線)を見比べて頂けると分かり易いかも知れませんね。
低速域から高速域まで非常にスムーズな伸びと高回転域での力強さも兼ね備えた感じで、これを最終プロトタイプとしてJMCA認証試験に受験・合格して参りました。

マフラーレイアウトもSS-OVALは音量的な余裕がある事に加え、軽量化の目的もあってショートタイプに変更しました。
SB1440JM (1)
SK1440JM (2)
またマフラーレイアウトは、オーナー様のご意見も踏まえて最終仕様はこんな感じのレイアウトにしました。

パワーグラフの話に戻すと、レスポンス感と共に時間軸で見た時に吹け上がる時間も早く、あくまでも参考程度になりますが、グラフではこんな感じになっています。

最終プロトタイプ  (2)
アクセルの開けるタイミングやその時の回転数も当然影響するのですが、点線は時間軸で縦線は時間(秒)を表しますが、スリップオンでのパワーカーブは、ノーマルとほぼ同じパワーカーブの場合においても加速到達する時間は平均して到達時間が早かったので、この点はパワーグラフでは読み取れない能力を示す事になるかと思います。

元々アクセルの反応スピードが、前モデルよりノーマルでも良くなっていますが、スリップオンに変更する事によって計量化は勿論の事、どの回転域でもレスポンスの良さを感じて頂けるのではないかと思います。

その重量に関して言えば、ノーマルに対してどのスリップオンでもほぼ50%の軽量化に成功していますので車体面の貢献にもお役に立てるマフラーに完成したと思います。

音量ですが、ノーマル車両は車体にも近接で90dBと貼られていますが、弊社測定での実測値は86dB~87dBでした。

BC1440JM (1)
弊社スリップオンはラウンドタイプが  近接 89dB  加速 78dBB

SB1440JM (2)
SS-OVALスリップオンが  近接 90dB 加速 79dB

と、低音域の効いたジェントルなサウンドに味付けしています。

CBR400Rが発売されて、スリップオンをリリースするまでお時間を頂きましたが、信号待ち等のアイドリング時には存在感のある低音を、そしてツーリングを含めたタウンユース使用時にはライダーを疲れさせない心地の良いジェントルサウンドを堪能して頂けると思います。

以上、CBR400R用スリップオン開発日記でした。

最後になりましたが、マフラー開発にご協力を頂いたオーナーのN様、本当にありがとうございました。

それでは宜しくお願い致します。

SK1440JM (3)




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新型YZF-R25用フルエキゾースト 開発日記

YZF-R25フルエキ (23)
皆様こんにちは。

新型YZF-R25用フルエキゾーストの開発日記です。

最近はアメブロの「マフラー開発 日々の出来事」の方に開発経緯を細かく書いていますので、コチラでは「開発マトメ」的な更新になりますが、宜しければお付き合い下さい。

新型式(2BK-RG43J)車両となってから、それまでの旧型式(JBK-RG10J)よりパワーも1馬力低くなったのですが、新型式車両は車なんかで言うところのドライバリティが、格段に向上した乗り心地になった印象を受けました。

新型vs旧型
赤線が新型式で青線が旧型式となりますが、あくまでも弊社の車両にて比較したデータになりますが、最高馬力は1馬力以上上がっている感じですが、注目すべきは7,000rpmまでの常用域で旧型式よりも馬力が出ており、実際に乗ってみると明らかにスムーズでそして速く、高速道路でも乗ってみましたが、繋がりが良い事から高速域でもカタログスペックや弊社のパワーグラフの様な差は感じられませんでした。

これは倒立サスになった車体バランスにも関係すると思いますが、「こんなに気持ち良く走れる車体だったかな?」という位に走行フィーリングが良くて個人的にはビギナーから上級者までの全ての方がその使用用途で楽しめるバイク、それが新型YZF-R25の特徴だと思います。

さてこの新型YZF-R25をどう味付けしていくかという事ですが、スリップオンの時は、ノーマル時の不必要と感じるアクセルを戻した時の低速域のエンジンブレーキの利きをマイルドにする事、レスポンス感の向上やメリハリ感にスポットを当てて開発しましたが、これはあくまでもノーマルのエキパイを使うスリップオンに対してのアプローチです。

フルエキの場合も上記の要素も踏まえて造るのですが、やはりエキパイから全て造り直すのですからスリップオンとは違うコンセプトが必要になってきます。
という事で、フルエキのコンセプトとして高回転域を更に改善を目指し、新型YZF-R25の本来のパワー感を追求する事にしました。

あくまでも弊社ベンチテストでの比較ですが、旧型式車両のスペックを全域で上回れる様なスペックを目標にしてみました。

また音質に関してもスリップオンではノーマルのエンジン下にあるタイコ部分で、ある程度消音が終わっており、ノーマルの音質プラスα程度と比較的に大人しい音質でしたが、フルエキではあえてワイルドな音量・音質を求め、JMCA認証マフラーではありますが、JP250の様なレーシーな音質を求める事にしました。

YZF-R25フルエキ (9)
まずは旧型式車両用に開発したマフラーをベンチテストし、新型YZF-R25用のデータを取っていきます。

詳細な経過ブログの方はアメブロを参照して頂くとして結果としては思った特性を出し切れませんでした。

ベンチテストの結果、エキパイ長を中心にサイレンサー内部構造を変更していく事にしました。

YZF-R25フルエキ (11)
今回のリリースはラウンドタイプとSS-OVALでしたが、開発段階ではそれぞれのサイレンサーで少しずつ仕様を変えてのテストです。

プロト3
開発スタート直後はこんなグラフで悪くはないのですが、個人的には面白味の無いグラフからスタートです(笑)

プロト3a
プロト4
ベースのラインは大きく変わりませんが、管長を整えながらパワーカーブも変化していきます。

この時点で音質こそワイルドな感じになってきましたが、音量自体はスリップオンとほぼ同じの91dB位と、ワイルド感という意味においてはまだまだな感じです。(レスポンスは既に別物になっていましたが)

YZF-R25フルエキ (25)
YZF-R25フルエキ (8)
更に細かく管長とインナーパイプ径を変更しながら特性を煮詰めると同時に、触媒の位置も変更して音量・音質や特性を探っていきます。

触媒ですが入っている位置で特性はもちろん、音質にも影響を及ぼす事は余り知られていませんが重要な要素となります。

またYZF-R25の場合、ノーマルマフラーであればエンジン下のタイコがある為、あまり気が付きにくいですが結構なアフターファイヤーが起こっています。
マフラーを開発する際も音質・音量そして特性はもちろんですが、触媒の位置を決定する時にその辺りも考慮して配置していく事にしています。

そして最終的にはこんなグラフになりました。
プロト5R
こちらがラウンドタイプの最終型です。
JMCA認証試験では近接:92dB 加速:79dBで合格して来ました。

プロト5S
そしてコチラがSS-OVALの最終型になります。
JMCA認証試験では近接:94dB 加速:81dBでこちらも合格して来ました。

パワーカーブもさる事ながら、乗ったフィーリングはかなり気持ちの良い吹け上がりで、高速道路等では高回転まで気持ちの良い加速感を楽しんで頂けるのではないかと思います。

そして旧型式YZF-R25との比較グラフがコチラです。

プロト5vs旧型ノーマル
赤線が新型YZF-R25用マフラーで、黒線が旧型式YZF-R25です。
低速域での新型YZF-R25の特性を活かしつつ、高速域においても満足のいく仕上がりとなりました。

スリップオンに比べて音量も大きく、かなりワイルドな音質でかなりレーシーな音質に変貌しています。
「音量の大きいのはちょっと...」という方にはハッキリ言ってお勧め出来ません。
もちろんJMCA認証マフラーですが、音の質がスリップオンと明らかに異なるのでジェントルな音質をお求めになるならスリップオンをお勧め致します。

フルエキは(エンジンに問題ない程度の)アフターファイヤーの音も出ますし、音質自体もレーシーな味付けになっていますので、パワー感やワイルド感、そしてマフラーレイアウトも新型YZF-R25のフォルムを更に引き立ててくれる様にレイアウトしており、それらを求める方向きの仕様となっていますので、ご自信のバイクライフに合わせたマフラーを選択して頂ければと考えています。

LS2255JM.jpg
LB2255JM (2)

詳細情報が気になる方はアメブロの方で確認頂ければと思いますが、スリップオンそしてフルエキと、それぞれキャラクターをしっかりと差別化が出来たと思いますし、苦労した面も多々ありましたが色んな意味で印象に残る開発となりました。

という事で皆様、長々と拝読頂きありがとうございました。

『新型YZF-R25用フルエキゾースト 開発日記』でした。

新型YZF-R25/R3用 SS-OVALスリップオン 開発日記 - 完結編 -

新型yzf-r25 (14)
皆様こんにちは。

昨日の続きから書いてみたいと思います。

まずは、旧型式YZF-R25用に開発したスリップオンを新型YZF-R25に装着してベンチテストをした結果がコチラ。

ノーマルvsスリップオン
旧型式YZF-R25の時よりもパワーカーブの差は出ませんでしたが、それでも上出来なグラフだと思います。
低速域ではノーマルを下回る事無く、高速域にかけてはしっかりパワーアップし、ピークでは約1馬力程、パワーアップしました。

何より乗っていてレスポンス感が良く、ノーマル時の「必要の無いエンジンブレーキ」の効きもマイルドで乗り易くなっているのが分かります。

最近、初心者の方がよく勘違いされている事があるのですが、低速域でアクセルを戻すとエンジンブレーキが効き、またアクセルを開けるとギクシャク感の中で加速していくのですが、この変なギクシャク感の中で起こる加速が「トルクが有る」、そしてマフラーを換えて低速域の変なエンジンブレーキがスムーズになり、ス~っと加速していく事を、「トルクが薄くなっている」みたいな感覚で話す方が結構いらっしゃいます。

最近のバイクは排ガス規制が厳しく、排ガス検査の際に測定使用する低回転域の燃調(ガソリンの噴射量)が薄くなっている事もあって、低速域でアクセルを戻すと必要以上のエンジンブレーキが効く傾向にあり、長年バイクに乗っている人達からすると「違和感」でしか無いのですが、バイクの経験が浅いと、今のバイクしか乗っていない事もあってこれが「普通」な為、こんな勘違いをされているのだろうと、お話を聞いているとそんな風に思います。

話を戻しますが、低速域からかなりスムーズに加速してくれるのですが、更なるメリハリ感というか、スパイス的な物が欲しくSS-OVALスリップオンではそこを目指すべく、内部構造を少しだけ変更する事にしました。

具体的には。。。

YZF-R25 WRSスリップオン (11)
YZF-R25 WRSスリップオン (4)
上がS.O.Vショートオーバルで下がラウンドタイプの出口ですが、YZF-R25/R3の場合、エンジン下のタイコ部分まででほぼ消音が終わっている為、こんな大口径な出口で近接・加速の規制値にしっかり収まってくれます。
スリップオンのピークパワー付近の特性も、大口径の出口から恩恵を受けていると言えるでしょう。

SS-OVALではこの部分を少し変更しました。

新型yzf-r25 (19)
新型yzf-r25 (24)
パンチング径の見直しと共に出口のインナー径を数タイプ造り、ベンチテストと実走でバランスを見ていく事にしました。

最初のベンチテストの結果がコチラ。

plot1.jpg
悪くないグラフが出ましたが、フィーリング的には何も変わりません(笑)

こうした作業を繰り返します。。。

新型yzf-r25 (23)
新型yzf-r25 (20)

最終仕様ではこうなりました。

最終plot yzf-r25
試乗でもレスポンス、そしてメリハリ感もしっかり出て、この仕様でJMCA認証試験を受ける事に。

JMCA認証試験では 「近接・90dB  加速・74dB」という結果で合格となりました。

そして今月はYZF-R3を受験です。

YZF-R3 スリップオン (5)
YZF-R3 スリップオン (4)
R25で試験に合格したマフラーに加え、念の為に別の仕様でもベンチテストしましたが、結果はR25で試験合格した仕様がベストだと確認出来ました。

その結果がコチラ。

R3 SS-OVAL
ピークでは2馬力近く上がり、レスポンスやフィーリングも良く、これで試験に臨みました。

結果は 「近接・90dB 加速・79dB」で合格して来ました。

因みに既存のスリップオンでのデータがコチラ。

R3 各種サイレンサー
3タイプとも線が重なる位に同じ結果に(笑)まぁ、この3タイプは長さの違いはあれど構造的には同じなので結果としてこうなりましたが、ノーマルをしっかり上回っており、もちろん新型YZF-R3にもラインナップです。

既存のラインナップに頼らす、新型YZF-R25/R3用としてイチから開発したSS-OVALスリップオン、満足のいく結果となりました。

リリースに関しては近くアメブロ「ダブルアールズマフラー開発 日々の出来事」の方でお知らせしたいと思いますので宜しくお願い致します。

次回は新型YZF-R25用フルエキゾーストの開発日記です。

それでは。

SB2255JM R3 (3)
SK2250JM (3)

新型YZF-R25/R3用 SS-OVALスリップオン 開発日記 - 序章 -

SB2250JM (3)
皆様こんにちは。

さて新型YZF-R25/R3用SS-OVALスリップオンの開発日記の更新となりますが、ここのところアメブロの「マフラー開発 日々の出来事。」の方で開発過程を更新している事もあり、コチラの方は「備忘録」的なブログになろうとしていますが、それもアリかな?とも思いますので、しっかり『備忘録』として残していきたいと思います。

新型vs旧型
まずは新・旧のYZF-R25の対比グラフです。
赤線が新型YZF-R25で青線が旧型YZF-R25となります。

新型はカタログスペックで1ps低くなっていますが、グラフでもその辺りが顕著に現れ、また同時に低回転域の特性では新型に分があるグラフとなりました。

実際に乗ってみると旧型の記憶が定かに無いのすが、「YZF-R25って、こんなに加速が良かったかな?」と思う位にスピード乗りが良く、またポジショニングや倒立になったフロントフォークが絶妙な剛性感で、かなり心地良く走れるのが印象的でした。

馬力こそ劣りますが、タウンユースにおいては間違いなく進化しており、雑誌の記事を見る限りサーキットユースでも「新型」にふさわしい進化が確認出来ますね。

ただ、ベンチを回していると上が重いんですよね。。。10,000rpm付近から加速感がはっきりと鈍る感じで、「タウンユースで、そんな回転は使わない」という声が聞こえて来そうですが、私達の仕事は普段使わない回転域も確認した上でマフラー開発を行っていますので、私的には非常に重要な部分であります。

仮に弊社製品を検討頂いているとして、「普段使わない回転域ならパワーダウンさせてもいい」という事にはならない筈なので、そこも含めて毎回造っています。

ただ今回の開発はスリップオンで、YZF-R25の場合、エンジン下にあるタイコの部分迄で消音やパワーフィールが決まっている事も事実としてあります。

「消音やパワーフィールが決まっている」とはいえ、見様見真似で造ったら確実にパワーはダウンします。

YZF-R25に関しては、ノーマルの特性を把握しながらどういう方向に乗り味を持っていのくか?という事も重要な部分で、音質も含めて結構やれる事が多いので、簡単に見えるかも知れませんが(笑)、外してはいけない重要ポイントを見極める事も必要です。


開発の前に、旧型用に開発したスリップオンの検証作業から入りました。

新型yzf-r25 (21)
写真はラウンドタイプですが、S.O.Vやチタンオーバルも計測していきます。

実はこの作業は去年の2018年型YZF-R25で作業を終了しています。
2018年型YZF-R25はスタイルこそ新型YZF-R25とは違いますが、エンジン型式及び車両型式は新型YZF-R25と同じで、昨年にJMCA認証試験に行く際にベンチテストで各種計測し、問題もなかった事からJMCA認証試験を受験・合格して来ており、今回も万全を期してチェックを行いました。

ダイナモテストは当然問題なく、この時点でSS-OVALスリップオンより一足早く追加適合申請を終えてラインナップとなりました。

弊社はミドルクラスを中心にラインナップを揃えていますが、だから尚の事ミドルクラスのバイクは自信を持ってオススメ出来る様に万全を尽くす、それがミドルクラスの中でライバルと向き合う事が出来る唯一の方法と思っています。

あまり書いても自画自賛になってしまいますので(笑)、話を戻します。

2015年にYZF-R25が登場した時、そのパワーやスタイルに衝撃を受けました。
その時も当然ベストを尽くして開発したつもりではありましたが、日々勉強というか、その後色んな車種を開発していく過程で新たな発見が生まれたりします。

今回の新型は厳しい環境基準の中、単純にパワーが下がっただけでなく、エンジンにおいてもしっかり進化を遂げています。
例えば、ピストンも形状が変わっていますし、燃焼室の形状も変わっています。
タウンユースにおいては特に問題は無いですが、高回転域を回し続けるレースシーンにおいてネックになっていたカムシャフトも更に信頼性が高くなったりと、エンジン内部においても進化しています。

上記の通り、旧型YZF-R25用に開発した既存のスリップオンもベンチテストでは力強いパワーカーブを描いてくれましたが、今回SS-OVALスリップオンを開発するに当たって、ただラインナップを増やすのではなく、「スパイス」の効いたスリップオンに仕上げたいとの思いで開発に入りました。

ノーマルマフラーで街中を走らせていても思ったのですが、R3とは違いR25はレスポンス感が弱い傾向にあるので、フルエキの様に劇的に変える事は出来ませんが、スリップオンでも出来得る事はある筈なのでそこに取り組んでみる事にしました。

こうやって文字にしてみると、かなり何かが出来そうに見えてきますが(笑)、あくまでもスリップオンという中で出来得る事であり、劇的な事は難しいのもホンネです。
頑張って出来たと思っても、ユーザーには伝わり難い部分でもあったりしますが、そんな目標を持ってスタートしました。

本日はこの辺りで続きはまた明日です。

それでは。

新型yzf-r25 (15)


GSX-S750 SS-OVALスリップオン開発日記

SB3720JM (4)
皆様こんにちは。

本日、お客様からお電話がありまして「GSX-S750スリップオンの開発ブログの更新はしないのですか?」と聞かれ、確認してみると、確か2月前半にブログを更新したつもりでしたが。。。すみません!確かに更新したつもりでしたが。。。何らかの理由で「下書き保存」のままになっている事を今まで気が付いていませんでした。

お電話のお客様は「一応アメブロの方で確認したので」と気を使って頂きましたが、書きます!。。。いや、書かせて頂きます。

せっかくなのでその時書いたブログのアップデート版(?)で、書き直したいと思います。(アメブロとも内容が被りますが。。。)

GSX-S750 (1)

GSX-S750の開発時、GSR750のマフラーがそのまま流用出来るという事を予め確認していた事もあって、馬力自体がGSR750よりGSX-S750の方が6ps程高い事、ピーク発生回転数が500rpm高い10,500rpmに上がっており、新加速基準に合わせてマフラーの仕様もGSX-S750の方が、いわゆる「抜けのいいマフラー」になっている事も確認した上で「GSR750用のスリップオンを少しモディファイすればいけそう」と、そんな感じのスタートでした。

因みにGSX-S750の純正マフラーでの近接騒音値は「90dB」という事で、音量は弊社のGSR750用スリップオンが「91dB」ですから音質こそ違えど、音量的にはほぼ同じ位です。

GSR750の場合、純正マフラーにバタフライが仕込まれており、加速走行試験の時もこれが大きく役立ち、弊社のGSR750用スリップオンは「近接:91dB 加速:74dB」という事で難なく合格したのですが、新加速走行騒音規制のGSX-S750は、このバタフライが付いていない事でスリップオンにした場合に加速走行騒音は結構難しくなるのかな?という思いでまずはテストを開始しました。

まずはGSR750用スリップオンをベンチテスト。
その結果がコチラ。

GSX-S750 パワーグラフ (1)
赤線がGSR750用スリップオンで黒線がノーマルです。。。この時は正直言ってかなりの衝撃を受けました。。。(笑)

「どれだけ良くなるか」という事しか考えていませんでしたので、試験までの残された日と現状を考えるに、間違いなく間に合わないかも?との思いで思考回路がフリーズしてしまいました(笑)

気を取り直して。。。といいたいのですが、少し頭の整理が出来ていないまま作業を開始、サイレンサーも今回採用するSS-OVALサイレンサーに変更し、当初考えていた仕様を更に変更してベンチテストに挑みます。

その結果がコチラ。

GSX-S750 パワーグラフ (2)
ノーマルとほぼ同等で、ピークパワーに関しては負けています。。。

音量はノーマル90dBに対して93~94dB、何をしたのかというと頭の整理が付かないまま考えたのは「もっとインナー径を太くしなきゃ」という事でインナー径をアップしました。

新基準の近接騒音値は、上限94dBという基準がなく、厳しい新加速走行騒音値をクリアした時に発生する車種ごとの近接騒音値が基準となり、GSX-S750の場合はその純正数値が90dBとなり、これに経年変化を考慮したプラス5dB迄が近接騒音値の上限となります。

ちょっと難しく書き過ぎましたが、簡単にいうとGSX-S750の場合は95dBが騒音上限値となります。

なのでこのプロトタイプのスリップオンで言えば、近接騒音値にはまだ余裕を残している事になります。
しかしながら、加速走行騒音値も当然大きくなり、現状のこのスリップオンでは加速騒音値がクリア出来ません。。。

パワーは上がっていないわ、加速音量は大きいわで。。。(笑)

笑っている場合じゃないのですが、試験を間近に控えたこのタイミング、そして少々パニクったままの頭脳からは短期間で良い答えを導く事が出来そうにありません。。。

そんな中、車両を手配し、この日マフラー開発作業を見守ってくれていた㈱ダックスコーポレーションの浜ちゃん、岩もっさんが「ギリギリまで頑張ってくれていいですよ!」と、気遣って頂いた事もあり、まずは加速騒音を抑えるべくインナーパイプを変更していく事に。。。

何度か試したあとに出たグラフがコチラ。

GSX-S750 パワーグラフ (3)
何をやっても思う様に動かなかったパワーグラフがようやく動き出して、少々ではありますがノーマルに比べて力強いパワーカーブを描きはじめました。

本当に少々しか変化は出ていませんが、それまで全く動かなかったグラフが動いた事で頭も冷静さを取り戻して来ました。

GSX-S750 (2)

ここに来てこのバイクの特性というか、方向性がかなり冷静に判断出来る様になったところで、最終仕様になるであろう、インナーパイプを選定し、その仕様でベンチテストです。

その結果、出たグラフがコチラ。

GSX-S750 パワーグラフ (4)
来ましたね。

浜ちゃんと岩もっさんにお願いして、確認の為にもう一度トライ。
当然ですが、グラフは同じグラフを描いて最終仕様が決定、この仕様でJMCA認証試験に合格して参りました。

製品データは以下の通りです。

(製品データ)

□ 近接騒音値      91dB  
□ 加速走行騒音値   82dB
□ マフラー重量     2.3kg(備品含む)  ※ ノーマルマフラー重量 4.6kg 

音量こそノーマルより1dB大きい数値となりましたが、直4サウンドを堪能頂ける音質に仕上がっております。

結果として言える事は、最初のデータが酷すぎて(笑)、冷静さを失いインナー径を更にアップしていった訳ですが、レスポンス感が悪くなる一方で、それに加えてパワーカーブもノーマルをなかなか上回れないといった悪い流れになっていましたが、音量を調整していく過程で求めていたパワーグラフに近くなり、レスポンス感アップとともに最初のインナー径から大きく変更した事でその答えが見つかったと思います。

マフラー重量もノーマルの半分となり、取り回しの際にも貢献してくれると思いますし、音質的も上手くまとまったのではないかと思います。

アメブロの方でお伝えしている通り、6/28リリースと正式に決まりましたのでGSX-S750オーナーの方々、ご検討頂ければ幸いです。

それでは宜しくお願い致します。

GSX-S750スリップオン (3)
プロフィール

ダブルアールズ

Author:ダブルアールズ
WR'S(ダブルアールズ)マフラーの開発状況などを掲載。

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